福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

11月のおすすめ本

横巻き: 読むと部活がしたくなる?

 「部活」と聞けば野球やサッカー、吹奏楽などを思い浮かべがちですが、昆虫部や男子のチアなどちょっと変わった部活もたくさんあります。

 今回は部活に関する本を集めました。(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『アート少女』
  花形 みつる/著 
    ポプラ社
    F/ハ131/2

 中学二年生の節子の所属する美術部は、存続の危機に立たされていた。かつてはコンクールや展覧会での華々しい受賞歴を誇るクラブとして一目置かれていたというのに、実力派の先輩たちが卒業し、節子が部長になった途端、部員は次々に辞め、残ったのはミーハーでドライな性格の副部長・狩野芳子、人とのコミュニケーションが苦手で『部室登校』の青木繁生、フィギュア好きでアニメオタクの梅原龍之介の3人だけ。

 部員不足で実績の無い美術部は新任の校長に目をつけられ、部室まで取り上げられてしまう。以来晴れた日は中庭や校庭、雨の日は校舎の片隅と活動場所を求めて学校中をさ迷う羽目になり、今やすっかり『さすらいの美術部』として有名になってしまった。

 そんな中、救世主出現かと思われた新入部員の草間さつきはあまりにも個性が強く、部員としての協調性も無いし、部室空け渡し騒動が原因で失った部費を自分たちの力で手に入れようと資金集めに奔走するものの、それも裏目に出てしまい…。 

 美術部を廃部に追い込もうと次々に無理難題を突き付ける天敵・校長と、部の存続をかけ奮闘する節子と色とりどりの個性豊かな仲間たち。美術部顧問や元野球部エースと校内のみならず、地元商店街の人々をも巻き込むパワーに圧倒されます。

(絵画好きな人なら、登場人物の名前にピン!とくるかもしれませんね。)(に)

 

テキスト ボックス: 『風が強く吹いている』
     三浦しをん/著
新潮社
F/ミ137/4

 毎年、正月に行われる箱根駅伝を、一度はテレビで見たことのある方が多いでしょう。なぜ、こんなに「走る」ということに、人々は魅了させられるのでしょうか。走ることは、原始的で孤独なスポーツと思われがちです。しかし、その中には、走る人の感動のドラマが、たくさん詰まっているのです。

 このお話は、大学寮「竹青荘」の住人十人が、弱小部である東京の寛政大学陸上競技部の一員として、箱根駅伝を目指す物語です。

 主人公の蔵原走(かける)は、寛政大学一年の男子学生です。ひょんな事から、竹青荘に誘われて入居し、陸上部員になります。「速く」でなく「強く」なれと教えてくれた、同大学陸上部の主将清瀬灰二(はいじ)のもとで、走は成長していきます。

 女の子にモテたいと陸上をやる双子の兄弟ジョータとジョージや、キングと呼ばれているクイズマニアの坂口など、個性豊かな仲間たちと共に、走は練習に励みます。

 手に汗握る走たちの走りに、きっとあなたも夢中になるでしょう。(わ)

 

 伝統ある多摩川高校合唱部は混声合唱なのに男子が4人しか居らず、顧問の先生も異動となってしまった。そこへ個性豊かな新入部員達が入部し、様々な問題を解決しながらコンクールへ挑みます。第70回NHK全国学校音楽コンクールの課題曲「あしたはどこから」の作詞をした平峯千晶さんの母校、多摩高校をモデルにした作品です。

合唱部は文化系の部活動ですが、日々の練習には筋トレが含まれています。自分の声と他の人の声が交り、美しいハーモニーを奏でるためには、思うような声を出すためには、それを支える十分な体が必要になってきます。そのため、運動部に負けないような筋トレをするのです。なぜそこまでして歌を歌うのか。ただ、リズムをとって音程を合わせて歌うだけでない合唱の魅力とは、なぜみんなと歌うことが楽しいのか、読み進めるうちに伝わってくるでしょう。

 課題曲「あしたはどこから」や自由曲「俵積みの唄」など作中に登場する楽曲をぜひ聴いてみてください。曲を知ることでより一層彼らの合唱に込めた想いが伝わってくると思います。(い)

 人が何かのくくりでコミュニティーを作り、活動する所には必ず何かしらの【あるある】が生じるものだ。

 

例えば此処、県立図書館でも日々あるあるネタは生まれている。自分で予約したはずの資料だが、貸出できるまでに余りに時間がかかった為に何を予約したかを忘れてしまったり、自分は返却したはずと思っていた資料が改めて探すと自宅から見つかったりするケースは図書館では本当に多いあるあるで、もしかしたらあなたも一度は経験があるかもしれない。

同様に、あなたがもしも何か部活動に所属しているなら、そこはあるあるネタの宝庫であることだろう。部活顧問についてや、部内恋愛について、大会で会った強豪校について等、話題も豊富である。そしてまたあるあるネタの多い部活ほど拘束時間が長く、部員の部活に対する思いも熱い傾向にあるようだ。

本書は吹奏楽部に対して燃えるように熱く海よりも深い思いを抱いている吹奏楽部あるある研究会のオザワ部長らによる、一冊まるごと吹奏楽部あるあるをひたすらに紹介した何とも画期的な本である。現在吹奏楽部の学生には勿論必見の一冊だが、今まで吹奏楽部とは無縁の方も是非本書を手にとってみてほしい。吹奏楽のことなど何も分からなくとも、何ページかめくるだけで思わず「プッ」と吹き出してしまうようなエピソードが盛り沢山だ。

ただ、本書を電車等で開いてしまうと、思わずふき出して恥ずかしい思いをするという電車内あるあるを生んでしまうので、是非注意してほしい。(や)

 「ものづくり甲子園」という大会を知っていますか?全国の工業系の高校生が技術・技能を競いあうもので、機械系や電機系といった部門に分かれています。

 主人公は工業高校に通う女子生徒、心(しん)。機械科1年生の女子は自分だけという中で、男子校のようなノリのクラスメイトにも負けずに高校生活を送っています。そんな心の部活はコンピューター研究部。これからは機械の時代と思っていたはずなのに、ものづくり研究部、通称「もの研」の助っ人として旋盤という部門でものづくり甲子園を目指すはめに。初めはいやいやだった心ですが、高い技術を持つ先輩や職人、かつて旋盤工場を営んでいた実家の祖母などに見守られ、冷たい鉄の塊と格闘するうちに、次第にものづくりの素晴らしさや喜びに目覚めていきます。

 作者は福岡県の出身で、モデルとなったのは北九州にある工業高校。所々に登場する実在の建物や方言などでより一層楽しめるはずです。(う)

 この他にも部活に関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『歌え!多摩川高校合唱部』
 本田 有明著
 河出書房新社
 F/ホ75/1
テキスト ボックス: 『吹奏楽部あるある』
 吹奏楽部あるある研究会 著
 白夜書房
 764/6/17
テキスト ボックス: 『鉄のしぶきがはねる』
 まはら 三桃 著
 講談社
 F/マ144/3