福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

5月のおすすめ本

横巻き: そばにいるよ

 皆さんの家では動物を飼っていますか?

通勤や通学の途中で出会う動物を毎日撫でたりしていませんか?

 今回はそんな身近にいる動物たちの登場する本を集めました。(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『夏彦ファミリー』
  坂下/康裕 著 
    北海道新聞社
 645/6/366

 がっしりとした体形に、とっても低い鼻とコウモリみたいな耳をもつ「フレンチ・ブルドッグ」。ちょっとぶさいくにみえるけれど、よく見ると…あれ、なんだかだんだん、愛らしく思えてきませんか?

 少しでもかわいいと感じたそこのあなたは、この犬の虜になること間違いなし!ぜひ一度、この本を手にとってみてください。

 

 この本の主人公「夏彦」とその家族は、自然豊かな北海道・南富良野に暮らす賑やかなファミリーです。寒いのは苦手な犬種なはずなのに、雪の中をかけまわり、雪をたべちゃうワイルドぶりを見せつけたり、そうかと思えば、暖炉の前でみんなで寄り添って仲良くすやすや…。

 南富良野の美しい四季の移ろいと、そこに暮らすフレンチブルドックのいきいきとした姿は、飼い主で写真家でもある坂下康裕氏だからこそ撮れる「生」の記録の連続です。一枚、また一枚とページをめくるうちに、あなたもこのぶさかわ犬の魅力にどっぷりとはまってしまうこと請け合いです…♡

 

(夏彦ファミリーのことがもっと知りたくなったら、「夏

 彦のブログU」もチェックしてみてね!)(の)

テキスト ボックス: 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
  万城目/学 著
 筑摩書房
  F/マ131/4

 かのこちゃんはとっても元気な小学生1年生の女の子。マドレーヌ夫人は猫にとっての外国語(犬語)を理解するアカトラの猫。そしてマドレーヌ夫人の夫はかのこちゃんの家の飼い犬である柴犬・玄三郎。これはそんな彼らの日常や小さな冒険を描いた物語です。

 猫が犬と会話?しかも夫婦?と設定を見て突拍子もないと敬遠しないでください。読み終わる頃には万城目ワールドをごく自然に受け入れている自分に気づくはずです。学校で“ふんけーの友”となるすずちゃんに出会うかのこちゃん、不思議な体験をするマドレーヌ夫人など優しいのに笑えてちょっと感動できるエピソードが散りばめられています。

 

 万城目さんの鹿がしゃべる小説、『鹿男あをによし』を読んだことのある人は、少しだけ登場するかのこちゃんのお父さんにも注目してください。うれしいリンクに気づくはずです(う)

 

 犬から見たら飼い主やその周りの人間はどんな風に見えているんだろう?彼らはいつも何を考えているんだろう?そんな風に思ったことはありませんか?

 この小説は犬の一人称で語られています。しかも語り手のマサは父親が所長、娘が調査員という家族経営の探偵事務所で用心犬として飼われている元警察犬なのです。

 マサと飼い主であり探偵事務所の調査員でもある加代ちゃんが遭遇したのは甲子園で準優勝という経験を持つ高校野球界のスーパースターがガソリンをかけられて焼死するというショッキングな事件。一人と一匹は探偵事務所の面々や被害者の弟・進也と事件の解決にのりだします。当初は野球部員の怨恨と思われた事件は次第に複雑になっていき・・・。少しずつ真実に近づいていく彼ら、そして明らかになる「パーフェクト・ブルー」という謎の言葉の意味とは?

 

 この作品は今まで多くの本を出版されている宮部さんの長篇デビュー作でもあります。また、同じくマサの登場する短編集『心とろかすような』もぜひ読んでみてください。(う)

 

 

 京都に住んでいるのは人間だけではありません。狸と天狗もまた昔からこの地に住み着いてきました。

 主人公は平安時代から下鴨神社の糺ノ森に住み着く狸の名門・下鴨家の三男である矢三郎。狸界の長だった父は既に亡くなっており、長男は真面目すぎて土壇場に弱く、次男は蛙に変化したっきり狸の姿に戻らない、四男はまだまだ子どもで、母親は宝塚大好き、雷大嫌い。そして矢三郎は面白いことが大好き。そんなちょっと頼りない彼らを取り巻くのは敵対する狸の一族・夷川家、すっかり落ちぶれてしまった天狗の赤玉先生、狸を鍋にして食べようと狙う人間たち。

 人間よりも豊かな個性を持った狸や天狗たちが人間と三つ巴になって繰り広げるのはほとんどが阿呆な物語ですが、そんな中にもたぬ狸たちの家族の絆が生き生きと描かれていて、読みながら思わず笑ってしまうはずです。

 

 読んだ後にはきっとこう叫びたくなっているでしょう。

「面白きことは良きことなり!」と。

 

 7月にはアニメ化もされるそうです。(う)

 鳥取環境大学は周辺に森や河があり、豊かな自然に囲まれた小さな大学です。それはつまり、豊かな自然に囲まれているが故に、動物と人間とをめぐって様々な事件が発生する大学でもあるということです。

 著者の小林さんはそんな鳥取環境大学で動物行動学や人間行動学を専門に研究されている教授です。

 そんな小林先生の毎日は緑化された校舎の屋上で生まれたカルガモの雛を池にかえしたり、校舎の中に迷い込んだ巨大コウモリを捕獲しようと奮闘したり、様々な騒動を専門である行動学の視点で捉えたりと大忙し。

 行動学が全く分からなくても大丈夫。わかりやすくて、動物への優しい眼差しに満ちた文章で書かれています。

 同じシリーズの他の本もなかなかインパクトのあるタイトルなのでぜひチェックしてみてください。

 

 こんな大学で学んでみるのはいかがですか?(う)

 この他にも動物が登場する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『パーフェクト・ブルー』
 宮部/みゆき 著
 東京創元社
 F/ミ71/20
テキスト ボックス: 『有頂天家族』
 森見/登美彦 著
 幻冬舎
 F/モ82/6
テキスト ボックス: 『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます』
 小林/朋道 著
 築地書館
 481/78/92