福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

6月のおすすめ本

横巻き: 雨を楽しむ本

 梅雨に入り、雨ばかりでいやだなあと思っていませんか?でも雨や水はとっても身近で大切なものでもあります。

 今回は雨や水に関する本を集めました。(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『小さなビオトーオプを楽しむ本』
 平野/威 著 
   竢o版社
 627/8/105

6月に入って梅雨が明ければいよいよ夏がやってきます!

今年も引き続き節電の夏になりそうですが、工夫して涼しく過ごしたいですね。そんなあなたにオススメなのが『ビオトープ』を作ることです。『ビオトープ』とはドイツで生まれた概念です。語源はギリシャ語で生命(Bio)と場所(Topos)を組み合わせた造語で、訳すると「色々な動植物が生きる環境空間」という意味です。

本来のビオトープは大規模な自然環境のことですが、小さな水鉢でも、植物があり、水があり、メダカなんかがいれば小さなビオトープと言えます。

うちには庭もないし、スペースもないという方でも、水鉢一つで簡単に癒しの空間が作れます。

ベランダに置けばそれだけで涼しげで、うまくいけば夏には子メダカが産まれたり、花が咲いたり、刻々とすがたを変える小さな生態系を楽しむこともできます。さらに、プランターとネットをつかって植物で緑のカーテンを作ればより省エネで涼しく過ごせます。

あなたもこの夏は自然の力で、地球にやさしいエコ生活を始めませんか?(き)

テキスト ボックス: 『海のふた』
  吉本/ばなな 著
 ロッキング・オン
  F/ヨ24/S14

 その夏、ふるさとの西伊豆の町に帰り、こだわりのあるかき氷屋を始めた私(まり)のもとに、母の親友の娘のはじめちゃんがやって来た。彼女は、小さい頃におったというやけどのせいで、体や顔の右半分はまだらに真っ黒になっている。愛してくれたおばあちゃんが亡くなり、遺産相続をめぐって親戚中が争い、はじめちゃんはきつい現実と闘っていた。私と一緒に西伊豆の自然・人に触れ合い、私の営むかき氷の店を手伝ったり、よく海で泳いだりして過ごす中で、自分の身に起こった大きな出来事を少しずつ受けとめていく。私とはじめちゃんが、互いにそれぞれの不安・淋しさを抱えながらも、一日一日濃密な時間を過ごす中で、希望の光を見出し、前に進んでいくふたりのひと夏の物語である。

 「海のふた」は、祖母が亡くなりずっとよく眠れなかったはじめちゃんが、聴くと落ち着く、慰められる歌です。海が、はじめちゃんの心に寄り添ってくれているのです。

 挿絵の版画からも、このお話の世界観を楽しめるでしょう。

 西伊豆の美しい自然、広く深い愛で包み込んでくれる海で過ごしたふたりの物語に、あなたも浸ってみませんか?(わ)

 

あなたが「雨」をイメージしたとき、あなたの心に浮かんでくる人は誰かいますか?また、そのときあなたがイメージする「雨」は、どんな雨ですか?

 雨には、さまざまな呼び方があります。例えば、霧雨や豪雨、霖雨(降ったりやんだりする雨)、にわか雨に、地雨(同じ強さでしばらく降り続ける雨)など。また、このほかにその季節によっても、その呼称は様々です。このことからは、わたしたち日本人が古くから、どれだけ雨という事象に重きをおいてきたのかがわかります。「天の恵み」というように、天から降ってくる雨は、命の源であり、生命の象徴でした。自然と人間とは、今よりもずっと密接につながっていたのです。

 そんな「雨」や「自然」をイメージするとき、あるひとりの存在が思い起こされます。童話作家で、詩人でもある宮沢賢治です。今回ご紹介する本も、そんな自然を愛した宮沢賢治の世界がたっぷりと詰まった作品です。賢治といえば、晩年の詩「雨ニモマケズ」が有名ですが、彼はその故郷の自然を愛し、理想郷としての日本国岩手の大地や自然を、「イーハトヴ」と呼び、彼の作品のなかでも様々なかたちで登場させています。特に、この本の第三章「風と水をめぐる旅」では、水や風、雲や霧といった、章のテーマに沿った賢治の作品とそこから連想される写真とが解説付きで紹介されており、雨の多いいまの季節にもぴったりです。あなたもこの本で、「イーハトヴ」の自然写真と賢治の作品とがコラボレートされた世界を、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょう。(の)

 

 「雨降る夜に」は『バスジャック』に収録されている4ページちょっとの掌編です。

 とある雨の降る冬の夜、僕の家を訪ねてきた女性。彼女は借りていた本ですと僕の本棚にあった本を差し出します。どうやら彼女は僕の家を図書館だと思い込んでいるようで、それ以来時々やってくるようになります。

 あらすじを書くのが難しいほど短い物語ですが、二人の静かなやりとりなど雨の夜に読むのが相応しいと思えるような小説です。(う)

 

 地球の表面の70%は海に覆われており、地球上に存在する水の97%は海にあるそうです。そう聞くと、海ってすごいと思いませんか?

 この本は美しい海の写真とそんな海にまつわる言葉を紹介した本です。海にまつわる言葉といっても内容は様々で、海の色や波の名前を紹介したものや海にまつわる言葉をつかった比喩、海にまつわる名言などがあります。

 

 例えば、「真艫」という言葉。読めますか?「まとも」と読み、舟を後ろから押すように吹いてくる風のことだそうです。「波の緒」は美しい楽音を奏でるような波。また、海にまつわるたいせつな言葉という章にはこんな言葉も紹介されています。

 

 「なみだは人間のつくるいちばん小さな海です」寺山修司

 

 「愛をもとめる心は、悲しい、長いつかれの後にきたる。それはなつかしい、おおきな海のような感情である」荻原朔太郎

 

 海に行って波の音が聞きたくなりませんか?(う)

 この他にも雨や水に関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『宮沢賢治イーハトヴ自然館』
 ネイチャー・プロ編集室 編
 東京美術
 910/268/2278
テキスト ボックス: 『雨降る夜に』
 三崎/亜記 著
 集英社
 F/ミ140/2
テキスト ボックス: 『海の辞典』
 中村/卓哉 著
 雷鳥社
 748//1650