福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

10月のおすすめ本

横巻き: 音楽のある暮らし

 今年はワーグナーとヴェルディの生誕200年です。そんな人知らないという人も二人の作曲した曲はテレビや映画できっと耳にしたことがあるはずです。

 今回は音楽に関する本を集めました。(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『のぶカンタービレ! 』
 辻井 いつ子/著
 アスコム 762/1/188

 全盲で生まれた辻井伸行さんのお母様、辻井いつ子さんが書かれた、息子のプロのピアニストになるまでの成長記です。母親目線だけでなく、一人の「演奏家」として、冷静に客観的にも、息子さんを見つめています。

 全身を揺らして、まるで歌うように(まさにカンタービレ!)、楽しそうに演奏する伸行さんの姿に、多くの人たちが感動しています。

 十七歳で挑戦した、ポーランドでのショパン・コンクールでは、「ブラボー!」「ブラボー!」の声と、やまない拍手に包まれました。

 皆、彼の音色に引き込まれてしまいます。その魅力は、私たちの目には見えませんが、ここまで歩んできた彼の道のりが作り出しているのでしょう。これまで、多くの人々が彼を支えてきました。自分たちの家族のようにずっと、伸行さんの成長を見守ってきた人達もいます。

 彼は、音楽というものを生きる術(すべ)として受け入れ、人を幸せにする演奏をしてきたのです。

 彼の努力する姿だけでなく、子どもへの親の深い愛情が伝わってきます。そして、この本の中に、音楽の力を感じることでしょう。

 読み終わった後には、辻井伸行さんの演奏を聴いてみたいと思いますよ(わ)

テキスト ボックス: 『第二音楽室 』
 佐藤 多佳子著
 文藝春秋 F/サ111/3

 学校での音楽の授業、皆さんは好きでしたか?ピアノを習っていて、吹奏楽部に入っていて得意だった人、面倒だなあと思っていた人、歌のテストがあっていやだなあと思っていた人など様々ではないでしょうか?

 この『第二音楽室』は小学生から高校生までのごく普通の少女たちが学校で音楽に触れることで様々な思いをして、少しだけ成長したり、少しだけ救われたりする物語です。

 学校で音楽に触れるといっても、その形もいろいろです。学校の鼓笛隊でおちこぼれのピアニカパートが第二音楽室で過ごしたきらきらとした時間、男女のペアが課せられた歌のテストを巡るやりとり、リコーダーアンサンブルで感じたハーモニーの美しさ。そして、いじめにあってどうしようもなくつらい時に出会った大切な曲。

 今まであまり音楽に触れたことのない人でも、楽器を演奏してみたい、そして一人ではなく誰かと一緒に演奏してみたいと思うのではないでしょうか。

 この本と同じシリーズの『聖夜』はオルガン部が舞台の長編です。興味がある人はぜひ手に取ってみてください。(う)

みなさんには自分の「人生を変えた音楽」はありますか?

この本は色々な業界で活躍する26人が自分の「人生を変えた音楽」を紹介しています。なかなか個性的な曲ばかりでこんな曲知らないと思う人もいるかと思います。そんなあなたは早速インターネットで気になった曲を検索してみましょう。「あっなんか知ってる」という曲や「知らなかったけどいいかも」と思える曲もあるでしょうが、「こんな曲が人生を変えた音楽なの?」と思うかもしれません。

この本を読むと、「人生を変えた音楽」というのは必ずしも好きな曲、好きなアーティストの曲ではなく、その時、その人にしかわからない衝撃を心に与えてくれた曲なのではないかと思えます。もし違う時に聴いたら聴き流してしまっていたかもしれません。きっと名曲じゃなくても、何かがその人の心に響いた、そんな曲が「人生を変えた音楽」なのでしょう。

自分には「人生を変えた音楽」などないと思う人は、じっくり考えてみてください。きっと自分の人生の転機にそんな曲に出会っているはずです。1曲だけじゃなくてたくさんあってもいいのです。その曲を聴いたら前向きになれる、元気になれる、幸せな気持ちになれる、そんな音楽を見つけて下さい。(き)

 東京から転校してきた高見森は小学校5年生。父親の仕事の関係で、北九州のとある社宅団地で暮らすことになります。前の学校では、暴れん坊のレッテルを貼られた森でしたが、この団地のメンバーもなかなかの個性派揃い。そして、その面々と森は、この団地に隠されたある秘密を共有していくことになります。 その謎の中心にいる「パック」と呼ばれる少年。そして、森の過去にあった、ある不思議な出来事と関わる人物とは‥。


 直接、音楽には関係のないようにみえるこのお話ですが、所々に効果的にあらわれるパックの「口笛」がこの物語を不思議にリードしていきます。 また、子どもたちが話す、(福岡県民からするとちょっとあやしい?)バリバリの北九州方言もこのお話の見どころです。その点にも注目しながら、このミステリーを楽しんでみて下さいね。 (の)

 クラシック音楽に興味がない人でも、モーツァルトとベートーヴェンの顔や彼らがどんな人生を送ったかを知っている人は多いのではないでしょうか。

 この本ではそんな二人やショパンやバッハなどクラシック界の10大作曲家を分かりやすく紹介しています。何百年も前に作った曲が今も人々に演奏され、愛され続けている作曲家たちは本当に偉大だと言えるでしょう。しかし、この本では彼らの人間的な一面(実はピアノが苦手だったこと、莫大な借金があったこと、恋敵を殺そうと企てたなどなど実に様々です)や名曲を作った背景、共通点を持つ作曲家の比較などを読むことができ、堅苦しくて苦手と思っていたクラシック音楽の話も楽しんで読むことができます。

 

 付録のCDも貸出できるので、ぜひ本を読んだ後は実際に曲を聞いてみてください。(う)

 この他にも仕事働くことに関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『学校では教えてくれない 人生を変える音楽  』
 雨宮処凛ほか 著
 河出書房新社
 760/8/66
テキスト ボックス: 『ぐるぐる猿と歌う鳥 』
 加納 朋子 著
 講談社
 F/カ84/14
テキスト ボックス: 『世界の10大作曲家入門』
 吉松 隆著
 幻冬舎
 762/8/90