福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室 |
6月のおすすめ本 |
今回ご紹介する本は重松清さんの『ブランケット・キャッツ』です。この作品は、なじんだ毛布とともに2泊3日だけレンタルできるブランケットキャットを借りた人たちの7つの短編集です。 この作品には、子供ができない夫婦、不幸のどん底にある女性、いじめに直面した中学1年生の男の子、老人ホームに入るおばあちゃんと最後の日を過ごす家族、両親が離婚し、新しい母親が受け入れられずに家出してしまった幼い兄妹、リストラされてしまった父親など様々な悩みや問題を抱えた人たちが登場します。しかし、登場人物たちはみな、2泊3日のブランケットキャットとの出会いを通して自分を見つめなおしたり、家族との絆を深めたり、ほんの少しだけど新たな一歩を踏み出します。 喜怒哀楽を分かち合ったり、つらいときや悲しいときにそっと寄り添ってくれたり、困難に一緒に立ち向かってくれる家族の存在が、いかに大切でかけがえのないものだと気づかせてくれる一冊です。(し) |
瀬尾さんのデビュー作であるこの本には『僕は捨て子だ』という一文で始まる表題作「卵の緒」と七子と七生という異母姉弟が共同生活を送る「7’s blood」の二篇が収録されています。 冒頭で紹介した一文から始まる「卵の緒」ですが、シリアスな話ではありません。父親がおらず、自分のことを捨て子だと思っている小学生の育生。学校でへその緒のことを知り、母親に尋ねます。料理がうまくて、でもちょっと変わった母親が見せてくれた箱に入っていたのはなんと卵の殻でした。そして彼女は軽やかに言ってのけます。『母さん、育生は卵で産んだの』『母さんは、誰よりも育生が好き。それはそれはすごい勢いであなたを愛してるの。今までもこれからもずっと変わらずによ。ねえ。他に何がいる?それで十分でしょ?』と。こんなことを言えるお母さんはなかなかいないのではないでしょうか。
家族という言葉を聞くと、お父さんがいて、お母さんがいて、子どもがいるというようなイメージを抱きがちですが、この本を読むと家族の数だけ家族の形があるんだなと改めて感じます。じわじわと温かい気持ちになれる作品です。(う) |
この本はNHKの特集番組を書籍化したもので、かわいい動物の赤ちゃんの写真やそんな赤ちゃんたちを守る飼育員さんの取り組みなどが紹介されています。 一言で動物のあかちゃんと言っても、種類によって大きさも世話の仕方もさまざま。赤ちゃんの時から100s以上あるアジアゾウのマーラは飼育員さんが移動させるのも一苦労。福岡市内にあるマリンワールドのマリンは、今までの子どもが生後間もなく死んでしまったために、次の赤ちゃん・マナは人工哺育で育てることに。イカと貝を裏ごししたもの、生クリーム、低脂肪乳、ビタミン剤、経口補水液などがミックスされた特性ミルクを飲んだマナはすくすくと大きくなり、無事に展示プールデビューを 果たしました。 カブトガニやクラゲなど普段目にすることのない赤ちゃん の写真も載っています。(う) |
かのこちゃんは元気いっぱいの小学一年生の女の子。小学校に入学したかのこちゃんはかけがえのない友達になるすずちゃんと出会います。二人はどんどん仲良くなっていくのですが、夏休みを終えて2学期になるとすずちゃんはどこか浮かない顔をしていました。
マドレーヌ夫人は猫たちにとっての外国語である犬の言葉が話せて、他の猫たちからも一目置かれる優雅な猫。ある日猫たちの集会所として使っていた空地にマンションが建つことになり、猫たちは居場所を失ってしまいます。そのことを夫であり、かのこちゃんの飼い犬である玄三郎に相談したところ、「猫股」の話を聞きます。それがきっかけとなりマドレーヌ夫人は不思議な体験をするのです。
一見、直接的な関わりのない一人と一匹ですが、気が付けばお互いの大事なもののために動いているのです。人間と猫の家族の絆をお楽しみください。猫のマドレーヌ夫人と犬の玄三郎の種族を超えた愛にも注目です。(い) |
主人公のメリーは、周りの大人から甘やかされて育ちました。けれども、両親からはかまってもらえず、誰からも愛されず、感謝することをも知らない女の子でした。メリーがもうすぐ9歳になるという時、コレラという伝染病で両親が亡くなり、イギリスのおじさんの大きなお屋敷へ引き取られます。けれども、メリーは新しい生活になかなかなじめませんでした。なぜなら、今までのようにちやほやと女王様のように扱ってくれる大人はおらず、自分の力で着替えをし、朝から晩までたった一人で過ごさなければならないのですから。 そんな生活の中で、メリーは、ある不思議な出会いによって地面に埋められた鍵と10年間閉ざされている秘密の花園の入口を発見しますが、自分だけの秘密にしておくことにします。ある夜、お屋敷のどこからか子どもの泣き声が聞こえてきました。お屋敷の中には、メリーのほかに子どもはいないはずですが、いったい誰が泣いているというのでしょうか…。このお屋敷には、埋められていた鍵、閉ざされていた花園のほかにも秘密があったのです。 メリーは、新しい生活の中でいろいろな出会いをし、何とかして自分の力で秘密の花園を生き返らせようと頑張ります。みなさんも、一緒に秘密の花園を探検してみませんか? (し) |
この他にも子どもや家族に関する本を集めています。 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。) |