福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

8月のおすすめ本

横巻き: 夏といえば・・・

 テレビで心霊特集もある夏、今回はミステリーやホラーに関する本を集めました。でも、妖怪やおばけが出てきても怖くない話もあります。怖がりな人はそちらをどうぞ。

(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『儚い羊たちの祝宴』
  米澤 穂信/著 
    新潮社
   F/ヨ68/15

 上流階級の人々が参加する読書サークル「バベルの会」。そのサークルに関わる人たちの五つの短編集です。その中の一編『儚い羊たちの晩餐』は「バベルの会」が消滅に至った経緯が書かれています。

「バベルの会」の会員であった大寺鞠絵は父親が会費を払わなかったため除名されてしまいます。どうしても「バベルの会」に残りたい鞠絵は会長に何度も掛け合ってみるものの一蹴されてしまいます。それと同時期、父親は厨娘という最高の料理人を雇います。その厨娘の大胆な仕事ぶりを見て鞠絵はある計画を思いつくのですが…。

 

最後に明かされる「バベルの会」の真実、厨娘の大胆な仕事ぶりの真実、そして鞠絵が厨娘に依頼した「アミルスタン羊」を使った料理。全てがつながった時、あなたは恐怖を感じずにはいられないでしょう。(い)

テキスト ボックス: 『12の怖い昔話 』
   スーザン・プライス/著
  長崎出版株式会社
F/P181/1

毎日暑い日が続いて夏も本番になってきました。皆さんが夏に涼を感じるものは何ですか。私は怖がりなのですが、夏になると背筋がひやりとするような怪談や怖い話が読みたくなります。

 今回ご紹介する『12の怖い昔話』は、イギリスの女流児童文学作家であるスーザン・プライスが昔話を再話形式でまとめた12の短編集です。

 日本の幽霊や妖怪のようなおどろおどろしいものとは異なり、この作品には、幽霊だけでなく、死神や悪魔や化け物、人間にいたずらをする妖精ボガート、大天使ミカエルや聖ペテロまで登場します。また、内容もぞっとするような怖い話や不思議な話、ユーモアを感じるどこか滑稽な話や人間の愚かさを書いた話、感動的な話などさまざまなタイプの話がおさめられています。

 

 私が特に印象に残ったのは、行商人が悪魔から影をとられる「影」という話です。

 どの話も短く気軽に読んで楽しめるものになっていますので、ぜひ読んでみてください。

 この夏は怖い話でスリルと涼しさを感じてみませんか。(し)

ごく普通の金曜、バーニー少年は幽霊を見つけました。レースの襟のついた青いビロードの服を着た幽霊は、しゃがれた声で「バーナビーが死んだ! ぼくはとってもさびしくなるよ。」と言うと消えました。バーニーは、バーナビーという正式な洗礼名で「もうお前は死んでいるのだ。」と言われたと思い、不安と恐怖に駆られ家に帰ります。そこで待ち受けていたのは、バーナビー大叔父さんが亡くなったという知らせでした。その日から、バーニーは不思議な足音が聞えるようになり、時々自分の目を通して誰かが周りを見ているように感じるようになりました。バーニーは幽霊に取りつかれてしまったのです。

訪ねてくる親戚たちの話から、自分に取りついた幽霊はバーナビー大叔父さんの弟で、子どもの頃に行方不明になったコール大叔父さんではないかとバーニーは考えます。

ある日、日に日に近づいていた足音が止まった途端、バーニーに電話がかかってきました。電話から聞こえてきたのは、あのしゃがれた声。「着いたよ。この町にいる。」・・・

 

この作品の原題は“The Haunting”。幽霊にとりつかれることというような意味ですが、恐怖体験だけでなくバーニーが初めに幽霊を見つけることになった理由も読み進めていくうちに明らかになります。暑い季節に涼しさと謎解きの両方を味わえる一冊です。

 イギリスのカーネギー賞受賞作品です。(し)

 水木しげるさんと言えば、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者であり、朝の連続ドラマでも話題になった人です。そして、東海道五十三次と言えば、江戸時代の浮世絵師・歌川広重が描いたとても有名なものです。特に富士山の絵などが有名ですね。

 この本は水木さんがその東海道五十三次をモチーフに、多くの妖怪達が登場する『妖怪道五十三次』として描きおろしたものです。宿場町などに登場する妖怪の数はなんと300匹。一反木綿や子泣き爺などおなじみの妖怪から、初めて見る個性あふれる妖怪まで様々です。旅をするのはもちろん鬼太さん(鬼太郎)とねずサン(ねずみ男)。

 

 今では新幹線で二時間で移動できてしまう東京ー京都間ですが、昔の人たちは14日もかけて行き来していました。水木さんの妖怪道五十三次と本物!?の東海道五十三次と見比べながら、妖怪の豆知識を学びながら、この本を読んでみませんか?(う)

 主人公の僕は作者と同じ坂木司という名前。保険会社に勤めるごくごく普通の会社員です。彼はホームズで言うならワトソン的立場であり、謎を解くのは友人の鳥井。鳥井はとある事件がきっかけでひきこもりがちなってしまい、ほとんど外出しない生活を送っています。仕事は自宅でできるコンピュータープログラマー、趣味は料理と全国名菓のお取り寄せという徹底ぶり。

 僕はそんな鳥井の目を外に向けようと遭遇した様々な出来事を語って聞かせます。引きこもりがちな鳥井ですが、推理力は抜群で、僕から話を聞いただけで事件の真相を言い当ててしまいます。新しいタイプの安楽椅子探偵かもしれません。

 

 シリーズは『仔羊の巣』、『動物園の鳥』と続くので、気になった人はぜひ読んでみてください。ちなみにこの3冊で「ひきこもり三部作」と呼ばれているそうです。(う)

 この他にもホラーやミステリーに関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『足音がやってくる』
 マーガレット・マーヒー 著
 岩波書店
 930/マ
テキスト ボックス: 『鬼太郎と行く妖怪道五十三次』
 水木/しげる 著
 東京創元社
 388/1/201
テキスト ボックス: 『青空の卵』
 坂木 司 著
 東京創元社
 F/C21/30