福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

9月のおすすめ本

横巻き: スポーツの秋

 9月には体育祭があるという人も多いのではないでしょうか?まだまだ残暑も厳しいですが、スポーツの秋におすすめの本を集めました。

(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『グラウンドの空』
  あさの あつこ/著 
    角川書店
   F/ア195/34

今回ご紹介する本は、あさのあつこ著の『グラウンドの空』です。

 11歳の時に初めて見に行った甲子園の雰囲気に圧倒された山城瑞希は、中学生になると野球部に入部し本格的に野球を始めます。瑞希は、野球の基礎から根気よく丁寧に指導する野球部の監督と出会い貪欲に練習に励み、ピッチャーのポジションに指名されてからさらに努力を積み重ねるようになりました。しかし、先輩たちの卒業に伴いエースピッチャーを失った野球部は地区大会すら出場できないかもしれないピンチをむかえます。そんな時、瑞希と幼馴染でチームメイトの田上良治が「ピッチャーや、おれ見つけた」と瑞希の前に飛び込んできます。良治が見つけたピッチャーは、転校してきたばかりの作楽透哉という見た目が「女の子みたい」な男の子でした。転校してきたばかりの透哉は心に傷を負っていて野球からも距離を置いている状態でした。

 

 透哉が心に負っている傷は何なのか、瑞希や良治らと心を通わせることができるのか、野球部の運命はなどストーリの展開ひとつひとつをお楽しみ下さい。(さ)

テキスト ボックス: 『101%のプライド 』
   村田 諒太/著
  幻冬舎
788/3/65

 2012年ロンドンオリンピックのボクシング・ミドル級の金メダリストで、現在プロボクサーの村田諒太が、その半生と出会った人たち、ボクシングへの思いを、素直に冷静に綴ったエッセイです。


 テレビで目にする村田選手は、接近戦が得意なファイター型のボクサーで、安定した強さを見せていますが、その半生は、グレる、ブレる、挫折する、現役を引退して社会人として働きながら燻るなど、一筋縄ではいきません。
 だからこそ、現役に復帰して「自分が一番ボクシングをやりたい」と実感し、オリンピックへの再挑戦へと、シンプルにボクシングへ向かっていく過程は、凄いです。
 緊迫感と迫力のある試合の分析や、心理学、力学、スポーツ科学、などの研究に基づいたトレーニング理論も展開されている一方で、笑いを愛する関西人だけあって、肩の力の抜けるエピソードもあり、ボクシングを知らない人にも楽しめます。タイトルの「101%」に関する教訓も含め、大事な主張は太字になっていてわかりやすいです。 (や)

『マラソンランナーも競泳の選手も、ゴールにたどりついたら走ることを、泳ぐことをやめるだろう。けれど私はその場所に居続けなければいけなかった。』

 

天災が立て続けに起こり、経済の低迷を危惧した政府が湾岸地域の経済特区を公営カジノに作り変え20年。カジノ特区のシンボルである少女サーカス団は、曲芸学校をトップで卒業して入団した少女たちの中でも、文学者の名前を戴いた者だけが花形の演目を任されます。

怪我をした双子の姉涙(るう)の身代わりに、少女サーカスの花形である八代目ブランコ乗りのサン=テグジュペリとしてサーカスに出演することとなった片岡愛涙(える)。ある日アンソニー・ビショップという男にエルのブランコは退屈だと言われ、命が惜しければブランコを降りろと警告をされ・・・

 

サーカスはスポーツとは少し違うかもしれません。ですが、双子の姉の涙海が、怪我をしてもなおブランコに乗ろうとする姿をはじめ、この物語に出てくる少女達は誇りを持ち、表舞台に立っているのではないかと心を打たれた一冊です。(お)

 タイトルがこの本の全てを物語っています。「ウルトラマラソンマン」とにかくこの本の著者は、長距離走が大好きです。彼は普段はIT会社に勤めているビジネスマンです。長距離走といっても、マラソンの42.195kmなんかは彼にとってはウォーミングアップに過ぎません。なにしろ彼は、361kmをノンストップで3日で走ったことがあるのです。それも寝ないで。

 ただでさえ長い距離なのに、そのレースが行われる場所が気温54を超えるデスバレーという場所だったり、マイナス89の南極だったりと過酷な状況下でのレースにも積極的に参加しています。暑いのも寒いのも走る事も嫌いな私にしてみれば、ただのドMにしか見えません。また、318km12人で走る世界で最も過酷なリレーレースを、たった一人で46時間17分で走破し、その足で家族と遊園地に行ったこともあるそうです。さすが、ウルトラマラソンマン、次元が違います。超ドМにして素晴らしい父親です。

 

 読んだ直後はとても走りたい衝動に駆られますが、我々はウルトラマラソンマンではないので、無理のない程度にしておきましょう。(うし)

 同じ年で部長や副部長を務めている友人を見て、すごいな、しっかりしているなと感じたことはありませんか?

 この物語の主人公、龍一は能力はあるけれど協調性はそんなにない弓が丘第一中学校の水泳部員です。主将を務めていた幼馴染・タケルの事故死により、部の存続のために水泳部を引っ張ることになりますが、個性の強いうえに様々な事情を抱えたメンバー達をまとめていくのは本当に大変でした。下級生の面倒をよく見るタケルに対して『よくやるよ』と思っていた龍一でしたが、自分が主将になってみて初めてタケルのすごさが分かったのです。そんな時、人魚のように泳ぐ謎の生徒に出会います。入部してくれれば、部の存続の条件でもある、メドレーリレー優勝も叶うかもしれないと期待に胸が膨らみますが、その生徒はある秘密を抱えていました。はたして大会の結果は・・・?

 

 自己中心的で周りが見えていなかった新米主将やろくに息継ぎもできなかった部員たちが、壁にぶつかりながらも成長していく爽やかな物語です。(う)

 この他にもスポーツに関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ 』
 紅玉 いづき著
 角川書店
 F/コ149/5
テキスト ボックス: 『ウルトラマラソンマン』
 ディーン・カーナゼス著  著
 ディスカバー・トゥエンティワン 
 782/3/153
テキスト ボックス: 『快晴フライング』
 古内 一絵 著
 ポプラ社
 F/フ168/1
運動会・玉入れのイラストウルトラマラソン マン―46時間ノンストップで320kmを走り抜いた男の記録