福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室 |
11月のおすすめ本 |
教科書に載っているような名作や、伝統芸能と言われるような芸術。古臭いと敬遠していませんか?確かに難しい部分もありますが、触れてみると意外に面白いものです。今回はそんな本を集めました。 (リストはこちら。予約もできます!) |
狂言、国語の授業で一度は触れたことがあるのではないでしょうか。私は小学5,6年生の頃に習ったと思います。まさにカルチャーショックでした。特に印象に残っているのが、犬の鳴き声です。現在は「ワンワン」、英語では「BOW WOW」(バウワウ)まあ、英語でもそう大して日本語と変わらず、犬の鳴き声だな、と分かるわけです。しかし、狂言で犬の鳴き声を表すと、「びょうびょう」です。びょうって…。小学生の私はもう何がなんだかさっぱりでした。さらに授業で狂言師の方の映像を観たり、聴いたりしました。セリフの独特の言い回し、言葉使い、当時の私の頭には全く入ってきませんでした。ただ、犬は「びょうびょう」と鳴く。それだけはしっかり覚えています。
そんな、当時の私に是非読ませたかったのが、この本です。狂言は、「曲」といわれる演目があるのですが、それを非常に分かりやすく、写真付きで解説してあります。狂言の演目には人生訓や、とんち話など、現在の我々にも通じる内容がたくさんあります。入門書にはもってこいの一冊です。(牛) |
この文庫本には、森鷗外の代表作といわれる「舞姫」「山椒大夫」「高瀬舟」なども収録されていますが、今回は「最後の一句」をご紹介します。
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文楽というと「はてなんぞや?」と思う方も多いのではないでしょうか。文楽とは、義太夫節で語られる詞章とともに人形をあやつる人形浄瑠璃という伝統芸能のことを指します。 義太夫を語る「太夫」、味線を弾く「三味線」、人形をあやつる「人形」の三業から成っている文楽。 本書はそんな文楽に魅せられた著者の楽屋訪問や演者へのインタビュー、歌舞伎と文楽の違いや『仮名手本忠臣蔵』『女殺油地獄』のストーリー解説など満載のエッセイになっています。 特にストーリー解説は江戸時代のお話を現代の感覚で解説しているため、とてもわかりやすくなっており、お話の筋を知りたいという方も読みやすいのではないでしょうか。 文楽にちょっと興味はあるけれどなかなか手がでないという方、歌舞伎など伝統芸能がお好きな方におすすめです。
著者の『仏果を得ず』という作品はこの人形浄瑠璃のお話になっています。あわせて読んでみると2倍面白いかもしれません。(お) |
みなさん「落語」を聞いたり見に行ったりしたことはありますか。「落語」というとどのようなイメージがありますか。今回は、もしかしたら今思っている「落語」のイメージが変わるかもしれない本をご紹介します。
この本は、中学卒業と同時に落語の世界に就職した柳家花緑という落語家のお話です。子どもの頃から勉強ができなかったという柳家花緑は、テスト0点が当たり前、本は18歳になるまで読んだことがない男の子でした。そんな男の子が、落語の世界に入ってから様々なことに挑戦し、成長し、プロへの道を極めていきます。その姿や考え方から、自分と照らし合わせてみると何か得られるかもしれません。
あとがきでは、柳家花緑は「落語は演じるほうにも聴くほうにも想像力がたいせつなんだ」と語っています。その理由は、ぜひ読んで確かめてみて下さい。また、第4章では、いくつかの落語が解説つきで紹介されているので、そちらもお楽しみください。落語の世界を垣間見ることができる一冊です。(さ) |
舞台では立て板に水という言葉が相応しいしゃべりを見せる落語家だって普段からそうな訳ではありません。 主人公の今昔亭三つ葉の職業は噺家。つまり落語家です。落語のことは好きで好きでしょうがないけれど、26歳と若く、頑固で気も短い。ようやく羽織を着ることが許され、一人前と認められる二ツ目(落語の世界では見習い、前座、二ツ目、真打という身分があるそうです)。そんな彼が噺家だからという理由で全くの素人に落語指南を頼まれることに。生徒たちはテニススクールのコーチしているのにあがり症の従弟や、口下手故に誤解されやすい女性、赤面症の野球解説者など一癖も二癖もあり、なおかつしゃべることに苦手意識を持っている人ばかり。彼らはしゃべりのプロであるはずの三つ葉を頼ってきたのですが・・・。
生徒だけでなく主人公もまた不器用なのですが、一生懸命に生きていて応援したくなります。また、落語の楽しさと同時に言葉の大切さも感じさせてくれる作品です。(う) |
この他にも名作や伝統芸能・古典に関する本を集めています。 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。) |