福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室

12月のおすすめ本

横巻き: どこに行く?

 1217日は飛行機の日です。ライト兄弟が1903年に動力飛行機による初飛行に成功したことにちなんで制定されました。この日にちなんで乗り物に関する本を集めました。

(リストはこちら。予約もできます!)

円形吹き出し: すべて貸出できます
貸出中の本は予約できます
テキスト ボックス: 『最新歴史でひも解く鉄道の謎 』
櫻田 純/著 東京書籍
  686/21/258

日本で初めて鉄道が開業したのは1872年(明治5年)のことです。それから140余年、日本の鉄道も世の中のめまぐるしい変化にあわせて急速に発展してきました。自動車が発達していない時代、公共交通機関としての鉄道は地域経済にとっても住民の生活にとっても重要な存在でした。日本の鉄道が誕生した当時からみると私たちを取り巻く交通事情は大きく変化しましたが、今なお鉄道は私たちの身近な存在であり、わくわくする気持ちや時には懐かしさを感じさせてくれる存在でもあります。鉄道を舞台とした物語も多くあり、なんだかロマンを感じるのは旅を連想させるからでしょうか。

今回ご紹介する『最新歴史でひも解く鉄道の謎』は、日本の鉄道史をキーワードに、忘れられつつある路線や車両、サービスなど様々なエピソードが集められています。鉄道のルーツをひも解くエピソードや語り継がれる名車両のエピソード、驚きの鉄道サービスのエピソード、鉄道路線のエピソードなど誰かに話したくなる内容が満載です。鉄道の歴史をひも解くことで、当時の日本について知ることができタイムスリップしたような気分が味わえます。鉄道ファンの方はもちろんのこと、鉄道について詳しく知らない方でも楽しめると思うのでぜひ読んでみてください。

(し)

 

テキスト ボックス: 『バスジャック』
  三崎 亜紀/著
集英社  F/ミ140/2

 バスジャックが人々の娯楽となった世の中。バラエティ番組の企画になったり、「バスジャック規制法」「バスジャックをする権利」なるものがあったり、最初の一文で首をかしげてしまいますが、バスジャックが如何に日常のものであるのかが次々と語られていきます。この話の中で行われるバスジャックというのは私たちが思うバスジャックとは異なります。


 バスジャックが始まる瞬間乗客が期待まじりにどよめいたり、バスジャックの決まりとして口上を唱え終わるまでは乗客に銃を向けることが出来なかったり、決まりを守らなければ犯人にペナルティが与えられたり・・・。どこかレクリエーションのようにも感じるのですが、脅しに使う爆弾は本物であることもあり、このちぐはぐさが緊張感を生みだして、物語は展開していきます。   
 犯罪であるはずのバスジャックが娯楽になるという面白い発想の短編となっています。他に収録されている短編も予想もつかないような発想で書かれた作品ばかりですので是非、お楽しみください。(い)

“乗り物”と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?電車、飛行機、自転車などたくさんありますよね。その中でも、空を飛ぶ乗り物で、飛行船を見たことがあるという人はいても、乗ったことがあるという人はなかなかいないのではないでしょうか。この『エアボーン』の世界は、ヘリウムや水素よりも軽い“ハイドリウム”という気体が存在する架空の20世紀の世界です。飛行船が主な移動手段のこの世界で、豪華飛行船オーロラ号のキャビンボーイとして働いている少年マット・クルーズがこの物語の主人公です。

ある日マットは、途中からオーロラ号に乗船してきたケイトという少女に出会います。ケイトは、亡くなった祖父の日記に書き残されている未知の生物“雲猫(クラウドキャット)”を見つけるためにオーロラ号に乗船してきました。マットはケイトの計画に協力することを決めますが、そんな時、オーロラ号は空賊船に襲撃されてしまうのです…

 

読み終えた時、タイトルの『エアボーン(AIRBORN)』の意味がはっきりとわかるでしょう。皆さんもマットやケイトと一緒にオーロラ号に乗船して、雲猫探しの旅に出発してみませんか? (しん)

『銀河鉄道の夜』という作品を御存じの方も多いと思います。主人公の少年が銀河を渡る鉄道に乗って、亡くなった親友との出会いと別れを経験するという宮澤賢治の名作童話と言われている作品です。どうも鉄道という乗物を取り上げた作品には、生と死であるとか出会いと別れであるとか、あの世とこの世の橋渡しのような役割を担わせるものが多いように思います。

 

今回紹介する『キップをなくして』もまた然り。キップをなくして駅から出られなくなった子どもたちが、ステーションキッズとして駅での「仕事」をこなしたり、鉄道に乗って全国のあちこちに旅に出かけたりといった毎日を楽しみつつも、いつかキップをもらって別れの時を迎えるという、一種のファンタジー作品ですが、この作品でも重要なモチーフとなるのは生と死に象徴される出会いと別れです。鉄道という乗物には何か、普段は意識することもないが、誰もが経験したことのある別れの悲しみを呼び覚ます不思議な力があるのかもしれません。(ふ)

 2011312日、九州新幹線が全線開通しました。そのPRのためのCMとして、鹿児島中央駅から博多駅まで試運転中の新幹線から沿線の人々を写すというイベントが行われ、その様子が一冊の本になった写真集がこの本です。テレビで見た人よりも、話題になってから動画投稿サイトで見たという人も多いのではないでしょうか?

 34日から放送されたこのCMは大震災の影響で一週間あまりで放送が中止になった一方で、震災で大きな被害を受けた人たちを勇気づけるのではないかと話題にもなりました。東北新幹線が全線で運転を再開した時に同様の企画が計画されたほか、海外の広告に対する賞などをいくつも受賞しています。

 

 新幹線に向かって手をふるたくさんの笑顔の人、人、人。そして実はくまモンも写っています。見ているだけでこちらも笑顔になれる写真集です。(う)

 この他にも乗り物に関する本を集めています。

 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。)

テキスト ボックス: 『エアボーン』
 ケネス・オッペル/著  
 小学館
 F/O47/1
テキスト ボックス: 『キップをなくして』
 池澤 夏樹 著
 角川書店
 F/イ99/16
テキスト ボックス: 『HOMETOWN EXPRESS』
 HOMETOWN EXPRESS製作委員会/著
 書肆侃侃房  748//1612
HOMETOWN EXPRESS―「祝!九州」写真集