福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室 |
1月のおすすめ本 |
図書館の本の多くは日本十進分類法という規則にしたがって分類され、棚に並んでいます。 今回はその分類ごとに図書館員のおすすめの本を紹介します。普段は手に取らないような本をぜひ読んでみてください。 (リストはこちら。予約もできます!) |
以前、同じシリーズの『世界の夢の本屋さん』を紹介しましたが、この本にも夢のような図書館がたくさん紹介されています。 まさに知の殿堂という言葉がふさわしいような荘厳な図書館ばかりで、美しい写真にはため息が出てしまいそうです。 これを読んだ人におすすめなのが『本からはじまる物語』。本にまつわる掌編小説がたくさん収録されているので、きっとお気に入りの一篇が見つかるはずです。(う) |
この本は、約1300年前に作られ、今も高い人気を誇る阿修羅像(奈良興福寺国宝館)のファッションチェックで始まります。 聖なるフィギュア、阿修羅がまとう装飾のひとつひとつには、異国の神だった素性や、人間の生命への崇拝と祈りに値するものとして信憑性を持たせるための、キラキラした「輝き」のデザインがいっぱいです。 それらをひとつずつたどり、シルクロード(ジュエリーロード)を行ったり来たりして、当時のアジアの東西やヨーロッパまで国際的に交流したデザインと、それを生み出した世界の人の心を解き明かしていきます。 この時空を超えたキラキラとトキメキに満ちた文化交流史を案内するのは、ケルト芸術文化の研究者で、「ユーロ=アジア世界」を横断して伝わる装飾に込められた、人間の生命への祈りのデザインを追いつづけている鶴岡真弓さんです。
阿修羅のジュエリーを見つめ、その輝きにつらなる、生命、祈り、希望、あこがれを「デザイン」にする「表現力」と「想像力」をもつ「人間」に思いを馳せる、とてもにぎやかな本です。(や) |
同じ内容を現した文章でも、文体によってその印象はかなり変わります。これはある情景を99通りもの文体で書いたちょっと不思議な本です。 私はこの本を読んで言葉はとても自由なものだと感じました。もとはフランス語の本なのですが、これを日本語に訳した翻訳者の人もかなり頑張っています。 この本を読んで言葉のすごさをもっと感じたい人におすすめなのが『本日はお日柄もよく』。スピーチライターという言葉を操る職業に関する小説で、言葉の力というものを感じさせてくれます。(う) |
短編小説よりももっと短い、ショートショートの巨匠、星新一。ご存知の方も多いことでしょう。本書は、ただでさえ短い平均10ページくらいの作品が多い氏の作品を、さらに短く、名言集という形に編集しています。簡単にいうと、膨大な数の星新一作品の試し読みができるわけです。まさに究極のショートショートではないでしょうか。いや、ショートショートの極致、ここに極まりです。 まあ、前置きはこのくらいにしておきましょう。つまり、なぜ、この本をお薦めするのかというと、この本を、この本に登場する名言をきっかけにして星新一作品を読んでみてはどうでしょうか。と、そういうわけです。氏の作品は短いながらも計算し尽されたオチがあり、その読後感ときたら・・・。爽快なものもあれば、後味の悪いものもあれば、狐につままれたようなものあり、まあ良い意味で予測と期待を裏切ってくれます。なかなか他の作家からは得られない感覚になります。 そんな星新一ワールドの入口いや、もっと手前のまるで星新一ワールドのチケット売り場のようなこの一冊。お薦めします。(牛) |
この他にも図書館員おすすめの本を集めています。 ぜひご覧ください。 (予約もできるリストはこちら。) |
0門 総記 |
9門 文学
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8門 言語
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7門 芸術・美術 |
3門 社会科学 |
今回ご紹介する本は、若竹七海さんの葉崎市シリーズの一冊『みんなのふこう〜葉崎は今夜も眠れない』です。
お話の舞台は、葉崎FMで放送される「町井瞳子のライトハウス・キーパー」というラジオ番組です。この番組の目玉は「みんなの不幸」というリスナーから色々な不幸話が投稿されるコーナーで、(ラジオネーム)「ココロちゃんのペンペン草さん」が投稿する、17歳フリーターのココロちゃんの不幸話を中心にお話が展開していきます。どんな不幸なことがあってもめげないココロちゃんと、そんなココロちゃんを見守る女子高生のぺんぺん草さん、そして瞳子さんやリスナーなど色々な登場人物の視点からもお楽しみいただけます。 ココロちゃんの身にふりかかる様々な不幸とは・・・。お話の結末は・・・。ぜひ読んで確かめてみてください。不幸話だけれども思わずくすくすと笑ってしまう一冊です。
著者の若竹七海さんの作品は他にも所蔵がありますので、気になった方はチェックしてみてはいかがでしょうか?(さ) |
年明けとともにやってくるのが入試、受験です。高校入試、大学受験、はたまた中学受験と、ジリジリとした日々を過ごしている人もいるのではないかと思います。子どもから大人になる間に、乗り越えなければならないいくつもの高い壁を前にしては、誰であれ思わずひるんでしまう瞬間があるのではないかと思います。 この作品の主人公たちも、中学受験を間近に控え、日々悩み、戸惑っている小学生たちです。育った環境も学力も全く異なる彼らですが、同じ進学塾に通ううちにふと大きな疑問にぶつかります。自分たちはなぜ勉強しなければならないのかと・・・。その答えを求めて彼らはある場所へと向かいます。その場所とは?そしてそこで彼らが得られた答えとは? あっという間に読めてしまう作品なので受験勉強の合間の息抜きに読んでみるのも良いかもしれません。日頃のモヤモヤが吹っ切れるヒントがあるかもしれませんよ。(ふ) |
12月14日には衆議院議員選挙が行われ、その後の国会で内閣総理大臣が指名されました。歴代の内閣総理大臣は90人以上いますが、顔と名前が一致するという人は何人いますか? この本では歴代の総理を似顔絵や様々なエピソードと共に紹介しています。ニックネームや好きな食べ物も紹介されていて、総理大臣を身近に感じられるかもしれません。(う) |
トラバチェス共和国の武家ジンネマン家には、雪の鎧「スノーガード」と冬の剣「ウインタラー」という魔法の武具「ウインターボトムキット」が伝わっており、この「ウインターボトムキット」を持つものは最強の戦士だといわれていました。 12歳になるジンネマン家の次男ボリスは兄のイェーフネンと平穏な日々を送っていましたが、5年ぶりに叔父のブラッドが帰ってきたことから「ウインターボトムキット」をめぐる戦いがおこります。生き延びるため、亡霊がすむといわれる禁忌の地・エメラ湖へと向かった兄弟の前に赤い目の魔物が現れとき、ウインターボトムキットが光を放ちボリスは気を失ってしまいました。 ウインターボトムキットをめぐりいろいろな思惑が交差し、物語が進むたび、ひとつ、またひとつと苦難がボリスを襲います。 人に裏切られ、大切なものを失いながらも、国とはどのようにあるべきなのか、自分は何者なのか、なんのために生きるのかを模索し、ときに迷いながら成長していく物語です。(お) |