戦争の本

少年は戦場へ旅立った

ゲイリー・ポールセン/著  あすなろ書房  930/ホルセ

15歳のチャーリーは、戦争がどんなものか自分の目で確かめてやろうと、年齢をいつわって入隊する。しかし、退屈な訓練を行うだけの毎日に、チャーリーもまわりの軍人たちも本当に戦闘があるのかと現実感がわかずに過ごしていた。
 そんな中、ついに指令をうけて戦場へとおもむいたチャーリーは、銃をうつことすら忘れてしまうほどの衝撃を受ける。“死”ばかりがただよう戦場に、こんなものを見るはずではなかったと神に訴えながらその場を逃げ去る。
 南北戦争のほとんど全期間を戦い、生きぬいた、チャーリー・ゴダードという少年の実話。

モンシル姉さん

正生/著  てらいんく   920/クオン/

  1945年夏、日本が戦争に負け、朝鮮半島の人々は36年ぶりに日本の侵略から解放された。日本にいたモンシル一家は、期待を胸に身ひとつで祖国へ帰ってきたが、待ち受けていたのはひどい飢えや貧しさだった。それから1年半後、モンシルが7歳のときに家族はばらばらになり、やがて朝鮮戦争がはじまった。同じ民族同士が北と南に別れ熾烈な争いを繰り広げるなか、モンシルはどんなにつらく悲しいことに直面しても、いつも前向きに生きていった。朝鮮戦争が起きた頃の韓国の少女の物語。

兵士ピースフル

マイケル・モーパーゴ
/著  評論者  F/M288/1
 
 主人公、トーマス・ピースフルと兄チャーリー・ピースフルは優しい母親と知的障害のあるジョー兄さんと大好きなモリーを残して、イギリス軍兵士となり戦争へ行くことになる。彼らが赴任した戦場は、砲撃があちこちであり、毒ガスも使用され、悲惨で過酷な世界だった。敵はドイツ軍だけではなく、誰が味方なのか分からない毎日で、いつも守ってくれたのは兄チャーリーだった。そして、ピースフル兄弟は運命の朝を迎える…。
 第一次世界大戦を舞台にした少年兵士の物語。

温故一九四二

劉震雲/著  中国書店  F/L179/1

 1942年、中国河南省では大干ばつにより作物が実らず、深刻な飢饉が起こった。だが、それを意に介さず、中国国民党政府は収穫を厳しく取り立てる…。犬が人を、人が人を食う惨状をアメリカの記者が世界へ報道したことにより、中国政府も住民の救済を始めたものの、横行する汚職がそれを阻む。さらに翌年、イナゴの大群が来襲、飢餓に拍車をかける…。300万人が命を落とし、なお災厄の打ち続く河南省を救ったのは、何と日本軍だった。中国軍と戦う彼らが、大量の食料を住民に分け与えたのだ。
 戦争の最中に現出した歴史の皮肉、その実像に迫る。

この他にも青少年コーナー展示スペースに多数用意してあります


ブラッカムの爆撃機

ロバート・ウェストール/  岩波書店  F/W170/1

 第二次世界大戦中のイギリス軍。おれの仕事は、5人
の仲間と共に、オンボロ爆撃機“ウィンピー”でドイツ
に夜間爆撃を仕掛けることだ。ドイツ軍の戦闘機に撃ち落される恐怖を、冗談まみれで笑い飛ばしてな。

 そんなおれたちが、あの「ブラッカムの爆撃機」に乗ることになっちまった。必ず無事に戻ってくるが、それに乗った者は次回の出撃で必ず死ぬという、呪われた機に…。こいつの中には一体、何が潜んでいるんだ?!

  宮崎駿による解説(?)マンガ付き。

僕たちの戦争

荻原浩/著  双葉社  F/149/3

 2001年9月12日、アメリカで同時多発テロ事件が起きた翌朝、ひとりサーフィンに出かけていた健太は見たこともないような大波に呑まれてしまう。目を覚ますと、そこは1944年だった。
  一方、1944年9月12日、飛行訓練中に操縦を誤って、海に墜落してしまった飛行術練習生の吾一は2001年にタイムスリップしてしまう。
  健太と吾一は時を越えて入れ替わってしまったのだった。時代の変化に戸惑いながらも、少しずつ順応していく二人。やがて、健太は特攻隊員に選ばれてしまう。