百万の手

畠中恵
/著  東京創元社  F/142/1

 音村夏貴は過呼吸の発作に悩む中学生。ある日、無二の親友正哉を火事で失ってしまう。両親を助けようと、夏貴の目の前で火の中に飛び込んでいった。悲しみにくれる夏貴の耳に、正哉の残した携帯電話から正哉の声が聞こえ、画面には彼の顔が映っていた。不審火で起きた火事の真相を調べて欲しいと正哉は言う。夏貴と正哉が二人三脚で真相を探り始めていくうちに、事件は夏貴の生い立ちという意外な方向に関わりを見せ始めていく・・・。

先生と僕

坂木司  双葉社  F/173/3
 
 人が殺される小説は読めない極度の怖がり屋、伊藤二葉、十八歳。不安なことがあると、悪いほうへ考えすぎてしまう小心者。暗記の能力は抜群。一方、頭脳明晰、ルックスはジャニーズ系の大人びた中学生、瀬川隼人。かなりのミステリ好き。
 二人はひょんな出会いから表向きは家庭教師と生徒、実のところは隼人がミステリの先生かつ探偵、二葉が隼人の生徒かつ助手となり様々な事件を解決していく。
 ミステリ入門者向け、ほのぼのとしたソフトミステリ。

鬼に喰われた女 ―今昔千年物語

坂東眞砂子
/著  集英社  F/70/10

 今から千年以上も昔、平安時代。東国から都へ来た若い夫婦が、ある古びた屋敷に泊まることになった。数日たったある夕暮れ、一陣の風と共に、巨大な鬼の手が、美しい妻を開かずの間へと引きずりこんだ…。
 愛が、情が、欲が、嫉妬が鬼を呼ぶ。霊を招く。怪異を引き起こす。時を超え、暗闇から姿を現す。表題作「鬼に喰われた女」をはじめ、恐怖と魅惑の物語10編を収録。

死の相続

セオドア・ロスコー/著 原書房  F/R155/1

 1935年。ぼくはニューヨークに住む売れない画家だ。ある日、ぼくの絵のモデルで恋人のピートに、莫大な遺産相続の話が舞い込んだ。カリブ海の島国、ハイチに住む実業家の叔父が死んだのだ。遺産相続の条件は、葬儀への出席。ぼくはピートに付き添って現地へ向かったのだが…。
 昼なお暗き雨季のハイチで執り行われる不気味な葬儀、鳴り響くヴードゥーの太鼓、そして相続候補者達は次々と奇怪な死を遂げる!

水銀奇譚

牧野修/著  理論社  F/104/2

 高校生の香織はシンクロナイズド・スイミングに打ち込む毎日を送っていた。
 ある日、友人から小学校のときの担任が風呂で溺死した話を聞かされる。そして、その夜、小学校からの同級生が行方不明となり、やはり溺死で発見される。
 香織の頭によみがえってくるのは、「選ばれし者」だけが入部できる秘密の科学クラブ。そして、クラブの部長でオカルトにとても詳しかった桐生薫。彼は小学校のときに行方不明となっていた。
 次々と香織に襲いかかる奇妙な出来事。それは、学校も家族も全てを巻き込んでいく。

天の前庭

ほしおさなえ/著  東京創元社  F/52/2

 高校の工事現場で女性の白骨死体と日付の刻印されたボールペンが発見される。ボールペンは仲のいい4人の高校生が記念に作ったものだった。その一人、柚乃は自動車事故で意識不明となり9年間眠り続けている。父親はその事故で死亡、母親は子どものときに失踪していた。
 奇跡的に意識が戻った柚乃だが、記憶を全て失っていた。柚乃はパソコンから自分の書いた日記を見つけるが、日記には自分にそっくりな少女に出会ったとの記述が。
 果たして日記は柚乃の創作話なのか、それとも別の真実が隠されているのか?!

冷たい校舎の時は止まる

辻村深月/著  講談社  F/75/1

 ある雪の降る寒い朝、高校3年生の深月が登校すると、学校には数人の生徒がいるだけだった。他の生徒たちが登校してこないことを不思議に思った深月たちが校内を見て回ると、すべての外につながるドアが開かなくなっていることに気付く。電話も通じないという状況の中、閉じ込められた8人は2ヶ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし、誰一人として自殺者が誰だったのか思い出せない。そして、校舎の中では一人、また一人と生徒たちが消えていくのだった・・・。

重力ピエロ

伊坂幸太郎/著  新潮社  F/237/11

 遺伝子情報を扱う会社に勤める泉水は、落書き消しの仕事をしている弟の春に会社が放火されるかもしれないと言われる。春によれば、連続放火事件の現場にはいつもグラフィティアート(壁などに描かれた絵や文字)が描かれているらしいのだ。その後、春の言葉通り泉水の会社は放火されてしまう。
 なぜ、落書きをされた場所が放火されているのか。放火犯が落書きをしているのか。興味を持った泉水は謎を追いかけていく。やがて、春の様子がおかしいことに気がつくのだが・・・。

ホラー・ミステリー小説

この他にも青少年コーナー展示スペースに多数用意して
あります。