事例詳細

調査・質問内容

質問番号 0000032760
状態 受付済
質問日 2023/06/14

泉鏡花の小説『妖剣紀聞』に、「そりへがしの才蔵」という言葉が出てきた。「そりへがし」の意味を知りたいので、参考になる資料はないか。

図書館からの回答

回答状態 公開済
公開日 2025/03/29
関連質問番号

調査した範囲では、読みが「そりへがし」の言葉について意味の記載のある資料は確認できなかった。
なお、「そりへがし」と読む言葉や、「そりへがし」に類似する言葉の記載があった資料は下記のとおり。

◇参考URL1『大正演芸』1(8) p.89-90(70-71コマ)
「豊山君の金子市之丞は破壊た蓄音機を聴く如く、臺詞の要領を得ず『確乎しろ』………『聞えねへ』の罵詈大向ふより起るも無理ならずだ、鬘も平素の惣髪とは抽斗違ひの剃剥(そりへがし)の大タブサ、(以下略)」の記述あり。

◇参考URL2『世事画報』1(2) p.19(21コマ)
「○廿「角丸剃兀し(かどまるそりはかし)」 此は年老たる士分の役に用う、時代世話共に需用多し、角丸とは生際の角丸なるをいひ、剃剥し(そりはがし)とは天窓の地兀し様を見するなり、」の記述あり。

◆参考資料1『日本国語大辞典 第7巻』
下記の記述あり。
p.980「すっぺがし【剃剥】〔名〕前髪をそり落とすこと。元服すること。また、その年齢。(以下略)」
p.1091「すりへがし【摩剥】〔名〕歌舞伎のかつらの一つ。立役鬘(たちやくかつら)の下に、頭から額にかけてはる羽二重をいう。ちょうど月代(さかやき)にあたり、頭がはげた感じを出し、老役が用いる。(以下略)」

◆参考資料2『演劇百科大事典 第3巻』p.342
「すりはがし 摺剥 立役鬘の下に、頭から額にかけて張る羽二重で、月代の部分をなし、頭が禿げた色のもの。(以下略)」の記述あり。

◆参考資料3『江戸結髪史』p.341
「さてこの期に結われた髪の種類は、髷の形状によっていろいろの名称があるが、稲葉小千著「日本結髪史」によれば、まず銀杏髷に、大銀杏、(中略)すっぺがし、松平奴、撫髪、撫付髪、櫓落し、総髪、切下げ、僧形、散切、がっそう、などの髪の風が行なわれた。」の記述あり。

◇参考URL3『日本結髪史』
p.79(49コマ)「尚其他の髪様には丸髷(上方にて合さ髷といふ、)丸髷崩し、小髷、栗髷、束髷、加賀鳶髷、大將髷、冠り下、竹の節、小性髷、虻蜂蜻蛉、すみいれ、すっぺかし、(以下略)」の記述あり。
p.81(50コマ)「松平奴 商家の番頭等に行はれし「すっぺかし」といふ髷に似て、(以下略)」の記述あり。

◆参考資料4『日本の理髪風俗』p.147
「江戸時代後期(期末の風)男髷」中に「すっぺかし」の記述あり。

◇参考URL4『江戸東京風俗語事典』p.63(39コマ)
「すっぺがし 元服の意。前髪を剃ったばかりの若者を、すっぺがしの青二才などと云う。」の記載あり。

◇参考URL5『もりおか明治舶来づくし』p.185(100コマ)
「ただ侍分は、前のすりへがしを狭くし、大タブサにして菱を大きく結う。」の記述あり。

上記の他、同じ泉鏡花の作品で、「そりへがし」が使われているものがあった。
◇参考URL6『新柳集 : 鏡花小史』p.140(75コマ)
「十四に成るそりへがしが、遊び半分手間取に来て居ましたがね、(後略)」

参考文献

タイトル 注記
日本国語大辞典 第7巻
演劇百科大事典 第3巻
江戸結髪史
日本の理髪風俗

参考URL

タイトル 注記
国立国会図書館デジタルコレクション 『大正演芸』 1(8) 大正演芸社 1913-08 (国立国会図書館内/図書館・個人送信限定) 2023.07.25最終確認
国立国会図書館デジタルコレクション 『世事画報』 1(2) 温古堂 1898-08 (国立国会図書館内/図書館・個人送信限定) 2023.07.25最終確認
国立国会図書館デジタルコレクション 『日本結髪史』 稲葉小千 著 春陽堂 1918 (国立国会図書館内/図書館・個人送信限定) 2023.07.25最終確認
国立国会図書館デジタルコレクション 『江戸東京風俗語事典』 三好一光 編 青蛙房 1959 (国立国会図書館内/図書館・個人送信限定) 2023.07.25最終確認
国立国会図書館デジタルコレクション 『もりおか明治舶来づくし』 橘不染 著 トリョー・コム 1975.3 (国立国会図書館内/図書館・個人送信限定) 2023.07.25最終確認
国立国会図書館デジタルコレクション  『新柳集 : 鏡花小史』 泉鏡花 著 春陽堂 大正11 (インターネット公開[保護期間満了]) 2025.03.18最終確認

1/1