事例詳細

調査・質問内容

質問番号 0000038649
状態 受付済
質問日 2025/10/24

朝倉市杷木地域に、子供が町内のお堂に参詣するとお菓子がもらえる「お大師さま」という行事がある。
この行事について知りたい。また、福岡県内に同様の行事があるか。

図書館からの回答

回答状態 公開済
公開日 2025/11/30
関連質問番号

◆参考資料1『杷木町史』
p.469に「(九)お大師さま」の項に以下の記述がある。
「弘法大師とおくり名された空海を祀る法会、春は四月二十一日、秋は九月二十日(旧暦三月二十一日、八月二十一日)」
「大師堂やお大師さまを祀ってある所に参詣すると、組内の主婦が、持ち寄った米や野菜で料理したもので接待をする。」
「最近ではせんべいなどの菓子類その他の食べ物で接待している。」
「子供は袋を持って食べ物を入れて持ち帰る。」とある。

◆参考資料2『郷土の歴史杷木の昔ばなし』
p.368-370に「お大師さま」の項がある。
p.370に「子供らはお大師さまのように字が上手になりますように、とお参りをしてまわる。大人達はそれを温い眼で見守りながら、大師の功徳にあやかるようにと、あまねく衆生への接待をする。」とある。

同様に子供に接待をする行事は、次の資料で確認できた。

◆参考資料3『宗像の儀礼伝承』
p.32に「お大師さま」の項がある。
「光岡の子どもたちはお大師さまに参って、竹の皮にいれたヤーラクダンゴをもらった。」とある。

◆参考資料4『浮羽町史』下巻
p.950に「お大師様」の項がある。
「当日はお供え米やお賽銭をあげて茶菓のオセッテ(御接待)を受ける。子供たちは近くの大師様を巡拝してお菓子の接待にあずかるのを楽しみにしている。」とある。


その他、子供が対象とは明記されていないが、「大師祭」「大師講」「お大師様」等と呼ばれる接待の行事は、次の資料で確認できた。

◆参考資料5『久留米市誌』中編
p.873に三月二十一日の行事として「大師祭」の記述がある。

◆参考資料6『大川市誌』
p.1214に正月二十一日の行事として「お大師さん」の記述がある。

◆参考資料7『甘木市史』下巻
p.778に「大師講」の記述がある。

◆参考資料8『中間市史』下巻
p.940に「大師講」の記述がある。

◆参考資料9『鞍手町誌』民俗・宗教編
p.411に北浦地蔵堂の「お大師様籠り」の記述がある。

◆参考資料10『大野城市史』民俗編
p.265-270に「8 お大師様」の項があり、p.266に牛頸地域の接待について記述がある。

◆参考資料11『筑穂町誌』
p.526に七月二十日の「古門の千燈籠とぼし(お地蔵さまのお祭)」について記述がある。
「お大師さまごもりであったのが、女の児だけでするようになってからはお地蔵様のまつりとなった。」とある。
お参りに来る人々を女の児が接待をする行事と説明されている。

◆参考資料12『福岡県史』民俗資料編[1]
p.91に「粕屋郡須恵町大字植木字松ケ音」の「大師様」の項がある。
p.199に「筑紫野市大字柚須原字エゲの原」の「大師講」の項がある。
p.290に「朝倉郡宝珠山村大字福井字上福井」の「お大師様」の項がある。

◆参考資料13『福岡県史』民俗資料編[2]
p.345に「浮羽郡吉井町大字千年字東小江」の「八十八カ所巡り」の項がある。
p.430に「三井郡大刀洗町大字守部」の「弘法大師」の項がある。


なお、空海に関する「大師講」「接待」の参考資料として以下の資料も提供した。

◆参考資料14『国史大辞典』8
p.753-754に「だいしこう 大師講」の項がある。

◆参考資料15『四国遍路の民衆史』
p.159-171に「「接待」という名の福祉活動」の項がある。

◆参考資料16『遍路と巡礼の民俗』
p.75-82に「十 接待」の項がある。

参考文献

タイトル 注記
杷木町史
郷土の歴史杷木の昔ばなし
宗像の儀礼伝承
浮羽町史 下巻
久留米市誌 中編
大川市誌
甘木市史 下巻
中間市史 下巻
鞍手町誌 民俗・宗教編
大野城市史 民俗編
筑穂町誌
福岡県史 民俗資料編[1]
福岡県史 民俗資料編[2]
国史大辞典 8
四国遍路の民衆史
遍路と巡礼の民俗

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